イラン・ペルシア古典音楽Duo《ケレシュメ》
ピアノの祖先とされ、二本の撥でスチール弦を叩き幻想的な音響を作り出すサントゥール、皮張りのシンプルな造りから繊細な音を紡ぐトンバクとダフ。これらを操る岩崎和音と蔡怜雄のDuoです。このたび、「魅惑を放つ」の意味をもつペルシア語「ケレシュメ Kereshmeh」をユニット名に冠しました。ネーミングのきっかけは、やっぱり、古典音楽から。しかし「ケレシュメ」は、ペルシア詩の韻律と絡み合うメロディの名称であるだけでなく、日常的には、「秋波を送る、魅惑を放つ」などの意味で知られます。日本にもちょうどいい言葉が私たちの身近なところにあります。新元号「令和」の典拠にもなった万葉集の一節の、令(うるわ)しい月という表現。その語源ともなった古語「うる」には、潤い、官能性、魅惑といった意味があったそうです。日本人のアイデンティティをもつ二人が、音楽を通してペルシアの時代とその国境を行き来し、その魅力を最大限に放つという願いを込めて、Duoは2020年からも「ケレシュメ」という名前で、終わりのない旅に挑戦します。

■サントゥール岩崎和音(いわさき・かずね)大阪音楽大学作曲学科音楽学専攻卒業、イラン国立テヘラン大学大学院芸術学部音楽学科イラン・ペルシア古典音楽演奏コース修士課程(サントゥール)修了。当地では、古典音楽の理論を、国内外で教鞭を執るDariush Talaei氏、サントゥール演奏法を、西欧でも活躍するKamkar兄弟に師事。テヘラン大学より最優秀国際学生賞受賞。2019年、日・イラン国交樹立90周年記念式典にて演奏。現在まで、テヘランや日本国内各地で演奏・講演、テレビ番組や企業CMの楽曲提供を手がける。
■トンバク・ダフ蔡怜雄(さい・れお)幼少期より民俗楽器や古代の文明に興味を持つ。高校卒業後バークリー音楽大学に入学しイランの打楽器トンバクとダフに出逢う。音色の美しさや楽器のフォルムの美しさに惹かれ自分のメインの楽器とする。Payman Nasehpour氏を始めさまざまな奏者から演奏を学び各地で演奏活動を始める。2012年卒業後、帰国しイラン・ペルシア音楽を中心に創作や即興演奏にも取り組んでいる。